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トップコミットメント

トップコミットメント

代表取締役社長 社長執行役員 CEO松本 功

経営戦略とサステナビリティ

ロームの目指す姿~創業時から連綿と受け継がれるロームのCSV~

ロームグループでは、社会的な課題を解決しつつ、企業価値も創造する「CSV(共通価値の創造)」を軸とし、エネルギー問題などの社会課題の解決に向けて、新商品の開発、生産、販売を行ってきました。また、この「CSV」の考え方は、ロームにとって決して新しいものではなく、以下の企業目的に掲げられているように、創業当初より、企業の礎として大切にしているものです。

企業目的

われわれは、つねに品質を第一とする。
いかなる困難があろうとも、良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、文化の進歩向上に貢献することを目的とする。

経営基本方針

社内一体となって、品質保証活動の徹底化を図り、適正な利潤を確保する。
世界をリードする商品をつくるために、あらゆる部門の固有技術を高め、もって企業の発展を期する。
健全かつ安定な生活を確保し、豊かな人間性と知性をみがき、もって社会に貢献する。
広く有能なる人財を求め、育成し、企業の恒久的な繁栄の礎とする。

創業から60余年、企業規模や経営環境は大きく変化していますが、CSVは根幹となる考えとして、ロームのDNAとなり、連綿と受け継がれています。
社員一人ひとりが「企業目的」「経営基本方針」を実践し、SDGsがCSVを生み出す源泉と捉え、社会課題の解決につながる革新的な商品開発や高品質なモノづくりといった活動を推進することが、ステークホルダーの皆様の満足度の向上につながり、広く社会に貢献することができると考えます。そして、そのことが、社員の自信と誇りを高め、新たな挑戦を生み出す原動力となり、企業と社会が共に成長できると考えています。

ロームの目指す姿 ~創業時から連綿と受け継がれるロームのCSV ロームの目指す姿 ~創業時から連綿と受け継がれるロームのCSV

ロームが目指す未来に向け、さらなる高みへ

前述の通り、ロームでは1954年の創業時より不変の企業目的「われわれは、つねに品質を第一とする。いかなる困難があろうとも、良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、文化の進歩向上に貢献することを目的とする」に基づき、事業活動を行ってきました。何をもって文化の進歩向上に貢献するかという点に言及していないのは、未来永劫、電子部品をつくり続けるとは限らないという創業者の考えがあったためです。

今回、中期経営計画を立案するにあたって、「何をもって」なのか長期的視点に立ってはっきり打ち出す必要があると考え、まずステートメント“Electronics for the Future”を示し、さらには2030年に目指す姿を描きながら、いま私たちが抱いている思いをより具体的に経営ビジョンで表しました。それが「パワーとアナログにフォーカスし、お客様の“省エネ”・“小型化”に寄与することで、社会課題を解決する」というものです。

ロームが目指す未来に向け、さらなる高みへ ロームが目指す未来に向け、さらなる高みへ

ステートメント:Electronics for the Future
経営ビジョン:パワーとアナログにフォーカスし、お客様の“省エネ”・“小型化”に寄与することで、社会課題を解決する

ロームが目指す会社の姿

・社会課題を解決する会社になる

「品質を第一とする。文化の進歩向上に貢献する」と掲げられた「企業目的」を礎に、開発・製造・販売が一体となり、市場およびお客様のニーズを先取りしながら、パワーとアナログの擦り合わせ技術を更に進化させ、お客様の商品の“省エネ”・“小型化”に寄与することで、社会課題を解決する会社になります。その実現に向け、いかなる困難があろうとも、創業時から培ったチャレンジ精神で、失敗を恐れず、世界一の技術や新しい仕事に果敢に挑戦し続けます。

・社員が、豊かな人間性と知性をみがき、活き活きと働ける会社になる

社会課題を解決する会社となるためには、多様な働き方へ積極的に対応し、広く有能な人財を求め、育成し、企業の発展への礎とします。社員一人ひとりが豊かな人間性と知性をみがき、やりがいを持ちながら、活き活きと働ける企業風土を目指します。

ロームが目指すグローバルメジャーとは

ロームは、中期経営計画において、2030年のロームのあるべき姿として「グローバルメジャー」を掲げていますが、これには大きく3つの意味を込めています。まず、注力する自動車及び産業機器向けのパワー半導体とアナログ半導体をはじめ、あらゆる商品に対して、社会やお客様が「ロームなら大丈夫」と信頼し安心してくださること。また、お客様が半導体・電子部品を必要とされる状況になった際、最初に「ローム」と思い浮かべていただけるようなブランド力を持つこと。そして、何よりも重要と考えているのが、社会に必要な会社として認められることです。定量的な目標としては、パワー・アナログ半導体の分野で、世界トップ10に入ることと、売上1兆円を掲げています。社会情勢は不透明感が増していますが、引き続き、中期経営計画を着実に実行し、外部環境に左右されない強固な経営基盤を築くとともにグループ一体経営を加速させ、「ONE ROHM」で真の成長と企業価値向上に努めてまいります。

パワー・アナログにおいて発揮されるロームの強み

2022年の半導体市場は約78兆円と言われており、このうちロームがターゲットとするパワー・アナログの市場規模は、3分の1程度の26兆円に過ぎません。しかしながら、自動車と産業機器市場を中心とした電装化・電動化の進展により、パワー・アナログの需要は今後も伸び続ける見通しです。マイコンやメモリ等のデジタル半導体は、微細化などへの投資が競争の源泉であり、ファウンダリ等を活用した水平分業が業界の主流となっています。一方で、パワーやアナログ半導体では、ニーズに合わせて、自社の製造プロセスの特長を活かしつつ、最適な設計をすることが競争力の源泉となります。ロームでは、「回路設計」「レイアウト」「製造プロセス」が一体となり、それぞれの技術やノウハウを高いレベルですり合わせることによりお客様や市場のニーズに合った付加価値の高い製品を提供しています。そして製品開発を支えているのが材料段階から完成品までの生産工程をグループ内で完結させる垂直統合生産体制(IDM)です。設計面における付加価値向上や一貫した品質保証を実現するだけでなく、安定供給体制の構築にも寄与しています。これは、創業当初より掲げる「企業目的」が礎になっているもので、「品質を第一とし、いかなる困難があろうとも、良い商品を供給し、文化の進歩向上に貢献する」ことは、ロームのDNAとして脈々と受け継がれています。今後も自社の一貫生産体制にこだわりながらお客様に付加価値の高い製品を供給し、社会課題の解決に貢献することで、グローバルメジャーを目指します。

グローバルメジャーの実現に向けて成長分野に積極的に投資を実施

2022年度は、2021~2025年度までを実施期間とする「中期経営計画“MOVING FORWARD to 2025”」2年目でした。売上高は自動車、産業機器の伸長により前年比12.3%増の5,078億円と過去最高を更新し、営業利益・経常利益・純利益は前年比2桁の増益率となるなど、好業績で終えることができました。しかし、この好業績の大きな要因は、半導体市場全体の好況に加え、想定を超える円安の影響によるものであり、まだまだ伸ばさなければならないという思いがあります。さらなる成長のために積極的な設備投資を進めており、2025年度までの成長投資を5,000億円から6,000億円に増額しました。投資の主な内訳は生産能力向上と土地・建物の取得であり、その中心はSiCパワーデバイスの8インチ対応や、LSIにおける 12インチBi-CDMOS生産ラインの増強です。SiCパワーデバイス事業においては、自動車の電動化に伴い急激に市場が拡大しており、旺盛な需要に対して安定供給体制をスピーディに整えることが肝要です。そのため、SiC投資を前倒しし、2027年までの7年累計で5,100億円の投資を予定しています。一方で、LSI事業では、幅広いニーズに合う特定用途向け汎用製品(ASSP)の開発を強化しており、付加価値の高い戦略商品群を拡充するためにも生産ラインの増強を計画しています。特に2021年度以降は、売上に占める設備投資の割合が高い状況が続いていますが、負担は大きいものの、シェア獲得のためにも今は必要な時期であると認識し、大規模な設備投資を継続しています。同時に、この数年間で着実にキャッシュを生み出す力も増えており、中期経営計画の5年間における営業キャッシュフローも6500億円まで拡大する見込みです。投資効率向上にも取り組みつつ、積極的な設備投資に打ち勝つレベルでキャッシュ創出力も伸ばし、中期経営計画の達成に向け、一つひとつ着実に必要な布石を打っていきます。

サステナビリティ経営のさらなる高度化を通じ「会社の品質」を向上

ステークホルダーの皆様から信頼され、選ばれる会社となるには、「製品の品質」に加え、「会社の品質」を向上させることも重要です。サステナビリティ経営の高度化を推進しています。この一環として、2022年4月より、経営側に「サステナビリティ経営委員会」、執行側に「EHSS統括委員会」を設置し、経営と執行の役割を明確に分離することで、意思決定の迅速化と監督機能の強化を図っています。2022年度は、サステナビリティ経営委員会を月に1度開催し、TCFDやガバナンス強化策、人的資本にまつわる指標などのサステナビリティ課題について議論を深めました。ガバナンスの強化に向けては、2023年度に新任の社外取締役を3人迎え入れました。うち一人が実務に携わる社外取締役で、人的資本経営及びグローバル経営に関して幅広い見識を持っており、経験に基づいた助言を期待しています。評論家的な立場からの批評ではなく、これからのロームのあり方を一緒に考えていくことを期待して、選任いたしました。監査等委員の二人には、ガバナンス改革の一環として、グループ一体経営における監査や情報管理の在り方について、知見を活かしてご助言していただきたいと考えています。様々な社会課題がある中、最も緊急に対応が必要かつ重大なものの1つは、環境課題です。脱炭素、省エネルギーのキーデバイスとして、パワー・アナログ半導体の重要性が増しており、全世界の電力消費量の大半を占めると言われる「モーター」や「電源」の効率改善は、我々の使命であると考えています。気候変動や環境に対する意識の高まりにより、世界的に自動車の電動化の流れが加速し、それに伴って使用されるデバイスの省エネ・小型化ニーズも増えています。ロームのパワー製品やアナログ製品により、社会課題の解決に貢献してまいります。

また、ローム自身の事業活動における脱炭素化推進策として、「環境ビジョン2050」を策定しました。同ビジョンに基づき、「気候変動」「資源循環」「自然共生」の3つのテーマを柱に、カーボンゼロ(CO2排出量実質ゼロ)及びゼロエミッションの実現と、さまざまな環境保全活動・環境投資を積極的に行っています。この一環として、2022年4月には、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際企業イニシアティブ「RE100(100% Renewable Electricity)」に加盟しました。「国内外の全ての事業活動で使用する電力を2050年度に100%再生可能エネルギー電源由来とする」ことを目指しており、再生可能エネルギーの導入量を段階的に引き上げています。

一人ひとりが個性を生かしたキャリアパスを描き、夢を持てるような体制へ

ロームの製品が人々の暮らしを豊かにし、未来像を描くために必要不可欠と認識される存在になっていなくては、グローバルメジャーとは言えません。中期経営計画策定の際にベースとして考えたのは、2025年までに足腰をしっかり鍛えておくことでした。関係会社も含めたグループ全体で経営基盤を強化するために必要な施策を策定し、実行していくことが中期経営計画の土台となっています。具体的には、製造現場や管理部門などのあらゆる部門で、グローバルメジャーになるということはどういうことか、そのために何をしなければならないかを各自が考え、行動するということです。組織や財務など、すべての面において、グループ社員一人ひとりが、グローバルメジャーになっている姿とはどのようなものかをイメージし、夢を持って取り組んでいる体制を構築したいと考えています。
そのために、「人的資本経営」は、大きな課題の一つであると認識しています。これまでもグローバル人財獲得競争に勝つために、さまざまな人事施策を講じてきましたが、経営戦略に結び付いた人財戦略はまだ不十分であると自覚しています。2030年に目指すロームの姿から、バックキャストでどのような人財を育成する必要があるのか、そのために女性管理職比率がどのように影響してくるのか等、今後、しっかりとその全体像をつくり上げて、掲げていく必要があります。その上で、大事なことは、一人ひとり個性があり、自分のなりたい姿も違うので、「ロームにいたらこんなキャリアパスが実現できる」と社員一人ひとりが将来を描ける環境を作ることです。そのために、自律的なキャリア形成、及び能力開発を促進する仕組みを設けており、2019年度に創設した「スペシャリスト職制度」もその考えに基づいています。

50年、100年後の未来も「豊かな暮らし」に貢献する会社でありたい

この先、どのような社会が到来するかを正確に予想することはできません。自然と共生する人間の原点のような暮らしに戻っていくのかもしれませんし、空飛ぶ自動車が行き交う社会になっているかもしれません。世の中が変わっていけば、当然解決すべき課題も変わります。ステートメントの中にある“Electronics for the Future”という言葉は、2050年頃まではエレクトロニクスという解決手段によって、世の中の社会課題に対応していこうという考えに基づいています。100年後の未来では「for the Future」は変わらなくても、「Electronics」は変わっていることは十分あり得ると思っています。
しかし、「良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、文化の進歩向上に貢献すること」という創業以来の企業目的は、どのような社会になっていても変わることはありませんし、ロームはモノづくりを通して社会に貢献できる会社として存在していたいと思います。そのために、常に時代を先取りしつつ、新しい技術の開発に取り組み、高品質な製品の安定供給に努めていきます。
今、ロームは2000年代から取り組んできた構造変革が実を結び、成長軌道に乗りつつあると感じています。今後も変化する世の中に必要とされ続ける会社であるために、技術と製品を通して持続可能な社会の実現に貢献していけるよう、邁進してまいります。

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