従業員エンゲージメントの強化
人財マネジメント
基本的な考え方
2020年に発生した新型コロナウイルス感染拡大によって、世界は大きな転換を余儀なくされ、その結果、私たちの生活様式や働き方は大きく変わりました。今回のように社会環境が目まぐるしく変化し、予測できない状態が続くVUCA時代の中にあっても、ロームが社会価値を創造し続けるためには、新常態に迅速に適応することが重要です。また、様々なライフスタイル・ライフステージに身を置く社員一人ひとりが働きやすく、最大限の力を発揮できる企業風土を醸成することも必要不可欠です。
この風土醸成に向けて、社員のチャレンジを促し、それを後押しする⼈事制度や人財育成の仕組みの構築・整備に取組んでまいります。具体的には、「失敗を恐れずやってみよう」と思える社員を増やす仕掛けとして、新規事業を促す制度や部署異動の新制度などの導⼊に着手することで、組織の内外の壁をなくして社員同⼠が真実を語り合い、⼤⼩様々なチャレンジを常に⾏う組織を目指します。加えて、多様な働き方の推進をもう1つのテーマとして、在宅勤務やテレワークを積極的に活用すると共に、アイデアやイマジネーションが湧いてくるよう、社員の心がオープンかつ健康的でいられる職場形態に改善してまりいます。
そして、さらに透明度の⾼い評価制度や、階層別の人財育成プログラムなど、キャリア形成や⼈⽣設計がしやすい制度の仕組みも整え、競争力の強化につなげてまいります。
中期目標と実績
ロームグループの成長を支える社員が、活き活きと働くことができる職場環境を実現し、より良い企業文化の醸成につなげていくには、グループ一体での企業経営が重要となるため、会社と社員の双方向のコミュニケーションを通じたエンゲージメントの強化が欠かせません。ロームでは、2021年に策定したロームグループのサステナビリティ重点課題の1つに「従業員エンゲージメントの強化」を掲げ、取組みを進めています。
従業員エンゲージメントの強化 | |
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取組み背景・課題 | 経営ビジョンに掲げた社会課題を解決する会社になるためには、ロームグループの社員一人ひとりが活き活きと働くことができる会社でなくてはなりません。そのためには様々なライフスタイル・ライフステージに身を置く社員一人ひとりが、働きやすく、成果を上げることができる環境を整えることが重要です。ロームグループは社員とのエンゲージメントの強化を通じて、あらゆる職場で失敗を恐れず果敢に挑戦し続ける企業風土の醸成と、挑戦を促す職場環境の整備に取組んでまいります。 |
テーマ | ➀チャレンジを生み出す風土の醸成 ➁働きがいの向上 ➂従業員エンゲージメントスコアの改善 |
達成目標 (達成年度:2025年度) |
➀世界で通用する次世代リーダー、プロフェッショナル人財を育成する制度を確立する ➁-1.新常態において、従業員の志向やライフスタイルに適応した選択型サービスを提供する ➁-2.配属後のミスマッチを無くすことでパフォーマンスの最大化を図るため、各部門における求人に関する職務記述を明文化する ➁-3.人事基幹システム内で、社員の能力・期待・経験・資格等をデータ化し、適正な採用・配置に活用する仕組みを構築する ➂ワールドワイドでのエンゲージメントサーベイを導入し、スコアを毎年改善、業界平均以上を目指す |
2021年度実績 |
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2022年度目標 | ➀自律的な自己管理と自己改革を進めるためのマネジメントサーベイ実施の上、アセスメントを拡大 ➁-1.従業員の嗜好やライフスタイルに適応した選択型福利厚生サービスの導入検討 ➁-2.公式採用HPに掲載する求人票のさらなる情報量の拡充 ➁-3.本社での人事基幹システム運用を通じたデータ収集と、一部国内関係会社へのシステム展開の実施 ③ワールドワイドのグループ会社にてエンゲージメントサーベイを実施(2022年9月を予定) |
働きがいの向上
ロームでは、「従業員エンゲージメントの強化」の施策として、以下の取組みを行っています。
1. 働き方改革につながる制度と利用状況
ロームでは、働き方改革を推進し一人ひとりがそれぞれのライフスタイル、ライフステージに合わせて柔軟に働くことができるよう諸制度の導入を行っています。
また、ニューノーマルの時代を迎えた現在、ビジネス面だけでなく、個々の生活様式にも大きな変化が起きています。これまで当たり前であった行動が一変し、社員のライフスタイル・働き方に大きな影響を与えました。働き方が変わっても、労働生産性を維持・向上させるためには、業務の効率化を図るのみならず、従業員が働きやすい職場環境を整備することが必要です。ロームは2025年までの目標として、社員の志向やライフスタイルに適応した選択型サービスを提供し、働きがいある職場環境を実現することを掲げています。
制度名 | 目的 | 内容 |
インターバル制度 | 社員の健康確保 | 勤務の終業時間と翌日の開始時間の間を一定時間空けることにより、休息時間を確保する制度。インターバル時間10時間で設定。 |
在宅勤務制度 | 多様な働き方の支援 | 身体の障がいなどで毎日通勤して働くことが困難であると判断される社員を対象に一定期間、在宅しながら勤務を可能とする制度。 |
勤務地変更制度 | 人財の確保 | 配偶者の転勤や結婚、育児、家族の介護により転居を余儀なくされる場合において、個人都合で勤務地変更を認める制度。 |
再入社制度 | 人財の確保 | 配偶者の転勤や結婚、育児、家族の介護により退職せざるを得ない場合において、退職した後、5年以内に再入社できる権利を付与する制度。 |
コース転換制度 | 人財の活躍 | 職務の幅を広げ、自身の更なるキャリア形成に挑戦したいという限定基幹職の社員を対象に、基幹職へのコース転換を推進する制度。 |
時間単位有休 | 働く環境の整備 | 多様な働き方を可能にするため、年間5日分を上限に1時間単位で有休を取得できる制度。 |
今後も諸制度の整備や浸透を図り、社員がいきいきと働くことのできる職場環境の実現を目指します。
2. 育児・介護につながる支援制度・取組み
ロームでは、ライフスタイルに応じて、社員一人ひとりが活躍できる環境の整備を図っています。育児・介護などのライフイベントに合わせ、柔軟かつ多様な働き方ができるよう、法で定められている制度に加え、充実した仕組みを独自に構築しています。
制度 | 制度内容 | 状況 |
---|---|---|
育児休業 | ①原則として子が1歳に到達するまでとし、保育所へ入所できない場合、最大満3歳に達する日まで育児休業期間の延長が可能 ②1子につき2回までの分割取得可能(延長時は別途) |
・2022年法改正適応済み ・法定を上回る(休業期間最長3歳まで) |
産後パパ育休 | 配偶者が出産後8週間以内の産後休暇取得中に2回(計最大4週間まで)取得が可能 | 2022年法改正適応済み |
育児時間 | 生後1歳に満たない生児を育てるために1日午前・午後に各1回30分の育児時間を要求することができる | |
産休中の特別祝金 | 産前産後休暇取得中の所得の一部を支給(有休扱い) | 法定を上回る(有休部分) |
育休中の積立休暇充当 | 積立休暇(過去の有休未消化部分)を育休中に利用可能 | ローム独自の制度 |
育休取得促進を目的とした方針の制定 | 男性育児休業取得促進や取得期間延長を目的とした方針を制定し、全社へ周知 | 2022年法改正適応済み |
専用相談窓口の設置 | 育児休業制度についての問い合わせ、過去の取得事例など専用の相談窓口を設置 | |
全対象社員に対する取得推奨 及び取得意向の確認 |
本人及び配偶者が出産した社員に対して、育児に関する制度を再周知し、取得推奨及び取得意向確認を実施 | |
育児・介護 対応勤務 | ・時短勤務(最長2時間を短縮) ・繰上、繰下勤務(約2時間の繰上げ下げ可) ※両制度とも子が小学校を卒業するまで |
法定を上回る(小学校卒業までの子が対象) |
子の看護休暇 | 1年(4月~翌年3月)の間に以下の日数の休暇を取得可能 ・子が1人の場合:5日まで ・子が2人以上の場合:10日まで |
1日、半日または1時間単位での取得が可能 |
介護休暇 | 1年(4月~翌年3月)の間に以下の日数の休暇を取得可能 ・要介護対象家族が1人の場合:5日まで ・要介護対象家族が2人以上の場合:10日まで ※最大10日まで有給扱い |
法定を上回る(有休部分) |
介護休業 | 要介護対象家族1人につき3年の期間の間に通算93日までの介護休業の取得が可能(回数無制限、最大3年間の休業可能) | 法定を上回る(休業期間3年まで) |
介護休暇/休業への積立休暇充当 | 積立休暇(過去の有休未消化部分)を介護休暇・休業に利用可能 | ローム独自の制度 |
3. 有給休暇の取得促進
社員の健康維持や心身のリフレッシュを図るため、以下の取組みを通じて有給休暇の取得を推奨しています。
また、社員が多様で柔軟な働きができるよう、2019年から時間単位有休制度を導入しました。
- [取組み事例]
-
- 有給休暇に関するルールの理解のため、研修を実施
- 計画的有休の設定(年間4日間)
- 有休奨励日の新規設定
- 時間単位有休の導入
-
※2021年度の有休取得率は72.9%となり、前年と比べて約8%向上しました。
2022年度は有休を取りやすい環境を維持し、個人の自由な有給休暇取得を尊重するため、「最低取得ライン」として、有給休暇取得率65%を目標として設定します。

4. 表彰制度
ロームグループでは企業目的・方針に基づき、会社に貢献した社員を表彰する制度として『ローム社長賞』を設けています。この賞は、海外を含めた全ロームグループ社員が対象となっており、新技術や新商品の開発、生産性向上、地域や社会への貢献など社員の1年間の活動を表彰するもので、社員のモチベーション向上に大きく寄与しています。
【受賞件数】
表彰金額 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|---|
金賞 | 300万円 | 6 | 6 | 10 | 10 |
銀賞 | 150万円 | 41 | 26 | 17 | 17 |
銅賞 | 50万円 | 71 | 63 | 58 | 60 |
努力賞 | 20万円 | 57 | 56 | 59 | - |
合計 | - | 175 | 151 | 144 | 87 |
※2021年度より、努力賞は廃止。
5. ハラスメント防止に関する取組み
社員が健康でいきいきと働ける職場づくりに向けた取組みの一環として、顧問弁護士によるハラスメント防止研修を取締役含む部門長を対象に実施しています。
【研修内容】
セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなど、あらゆるハラスメントの未然防止に向け、社会要請の変化や具体的な事例に基づき説明教育。
【研修実績】
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|
受講者(名) | 35 | 27 | 34 |
受講率(%) | 100 | 100 | 100 |
同様のハラスメント防止研修は、昇格時の研修でも実施しており、今後も継続して実施していきます。
6. スペシャリスト職制度
グローバルな市場でお客様から選ばれる商品を開発するためには、個々のエンジニアの能力を高めていく必要があります。
ロームの持続的成長を支えるエンジニアが、持てる力を存分に発揮できるよう、技術系社員のキャリア制度を大幅に見直し、2019年度に「スペシャリスト制度」を創設しました。
本制度は、部下の有無にこだわらず、高度な専門スキルを以て会社に貢献するエンジニア職の社員を「スペシャリスト」として認定し、その道の第一人者としてのキャリアパスを明確化する制度です。
スペシャリスト職制度の目指す姿
- ロームの経営・事業戦略上、競争力の源泉となりうる専門能力の向上と発揮を社員一人ひとりに求めていく上で、専門職への成長イメージを示し、高度専門人財の計画的育成を図る。
- 高度な専門性の発揮を通じての企業貢献を自らの強みとする社員に対して、活躍機会を拡大し、自己実現に寄与する。
- 早期に自己の適性にあった進路を認識し、個々人の意識的・主体的な能力研鑽に対する意欲の高揚を図る。
【スペシャリスト職任命数変遷(累計)】

また、さらに高度な技術者には「フェロー」「シニアフェロー」の称号が与えられます。ロームの持続成長に向けて、経営を担う人財だけでなく、その技術力で会社に貢献する人財を育て、該当する社員に最大限の成果を発揮してもらうことが目的です。今後、5年をかけて10名程度のフェローを選任する予定で、2022年度9月時点で3名が選任されています。シニアフェローについては、本部長、執行役員級の待遇を与え、エンジニアとしてモチベーション高く成長できる体制を整備しました。
スペシャリスト職にはエンジニアとしての高い貢献が求められるだけでなく、「後進の育成」と「技術の継承」という重要な任務も担います。
本制度を通じてエンジニアの更なる専門性向上へのモチベーションUPと高度専門人財の育成につなげ、ロームの競争力を支える技術開発の加速、ひいては会社の更なる成長と発展を図ってまいります。
一定の等級から自薦あるいは他薦でスペシャリスト職に応募し、選考を通過すると技術主幹などに昇進します。その中で、選定基準をクリアした社員が任命されます。
※2021年度時点で累計65名が任命されています。
※スペシャリスト職は、任命年から4年に1回任期更新されます。
【スペシャリスト職社員の声】
トランジスタ、ダイオード、MOSFET、IGBT、SiCモジュールなど、製品特性を最終保証するテスタ(計測器)の内製化開発を担当し、事業部、工場と連携して新商品対応や改善活動に日々取り組んでいます。高電圧・大電流・高速性が要求される、AC特性(動特性)の内製テスタに初号機の開発から携わり、様々なパワーデバイス向けのテスタを立ち上げた経験があります。扱う電力が大きいので常に危険と隣り合わせですが、パワーデバイスの進化に合わせ、日々精進し技術を高めています。
幅広い知識(デバイス特性を始め、装置・基板、ハード・ソフトなど)が必要で、かつ不良品を世の中に出せないプレッシャーもありますが、非常にやりがいのある仕事です。計測分野のエンジニア地位向上のため、若手育成を含め、計測分野で貢献していきたいです。

計測技術開発課
技術主幹 松永 浩治
計測技術開発課
技術主幹 松永 浩治
産機向けモータ駆動時の電流検出用の絶縁ADコンバータの回路設計を担当しており、アナログエンジニアとしてコイルによる絶縁の通信回路設計およびADCの回路設計を行っています。専門分野であるADCを使った小信号アナログ技術を活かして、タッチパネル用のICの回路設計や駆動アルゴリズム開発を開発、商品化してきました。多数の特許も出願しています。現在の業務では、よりコアとなるADCの設計等に活かし絶縁ADCの立ち上げ実現に向けて励んでいます。
スペシャリストとして今後、ロームにある回路技術やノウハウを広く展開し、個の力だけでなく会社一丸となった設計力を形にすることで、競争力のある商品開発に貢献していきたいと考えています。

技術主幹 嶋田 雄二
AFE‐LSI商品設計2課 データコンバータ2G
技術主幹 嶋田 雄二
7. 福利厚生パッケージサービスの拡充
働き方が大きく変わり、生活スタイル、嗜好も多様化が進む中で、状況、場所に影響されずに利用可能で、多様なニーズに応えることができる、新たな福利厚生パッケージサービスを2021年度に導入しています。
社員の成長機会の提供、働きやすい環境の提供、ご家族含む健康面のサポートを重点ポイントとしてサポートの拡充を計画しており、社員と会社が更に成長できる環境作りを図っています。

従業員エンゲージメントスコアの改善
ロームは、「2030年度にグローバルメジャーになること」を経営の中長期目標に掲げています。この目標を達成するにはグループ一体での企業経営が重要となるため、この度ロームグループのサステナビリティ重点課題の1つに「従業員エンゲージメントの強化」を掲げました。
掲げた中長期目標を達成するためには、グローバルに展開する企業を基準に、組織のあるべき姿と現状・課題のギャップを把握の上、効果的なエンゲージメント向上施策を講じる必要があります。そのため、ロームでは、グローバル展開する企業をベンチマークとして設定し、エンゲージメントサーベイを導入しています。本エンゲージメントサーベイは、「チャレンジ」や「コミュニケーション」など14のカテゴリー、全71の設問、各質問ごとに5段階の選択方式で回答する構成となっています。
【エンゲージメントサーベイの実施】
<設問カテゴリー>
設問カテゴリー | |
---|---|
1. チャレンジ | 8. 業務運営 |
2. コミュニケーション・連携 | 9. 直属上司 |
3. 持続可能なエンゲージメント | 10. ダイバーシティ&インクルージョン |
4. 経営理念・目標 | 11. 倫理性・誠実性 |
5. ESG | 12. タレントマネジメント |
6. リーダーシップ | 13. 評価 |
7. 顧客志向 | 14. ウェルビーイング |
<各設問の選択項目>
選択肢 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
評価基準 | そう思う | どちらかというと そう思う |
どちらでもない | どちらかというと そう思わない |
そう思わない |
<2021年度エンゲージメント回答実績(ローム単体)>
年度 | 対象者数 | 回答者数 | 回答率 |
---|---|---|---|
2021年度 | 3,625 | 3,606 | 99.0% |
-
※2022年度以降、グループレベルでのサーベイを実施予定です。
<2021年度の取組み実績>
2021年度においては、エンゲージメントの向上に向けた重点テーマを「社員同士の『対話』の風土の醸成」として、以下の取組みを行いました。
取組み | 概要・主旨 | 実績 |
---|---|---|
管理職対象 社長座談会 | 理職層が、リーダーとしての意識を一層強く持って最大限業務パフォーマンスを発揮できるよう、部門・階層の垣根を超えて社長と管理職層が双方の思いや会社の方向性、経営課題を共有 | 22回 |
非管理職対象 社長座談会 | 社員が自身の仕事にやりがいを持って前向きに働くことができるよう、会社の目指す姿や双方の思い、課題を共有 | 5回 |
WEB Café | 若手社員同士の交流の場や経営陣と若手社員のコミュニケーション機会の創出 | 38回 |
<今後に向けて>
これまでも、ロームでは社員の声を集め、福利厚生や職場の改善施策を検討・実施するために、2017年度まで従業員満足度調査を実施し※、その調査結果を受けて、「マネジメント力の向上」「働き方改革の推進」「人事制度の改善」「社員の声を集める場の設定」などをテーマに取組みを行ってまいりました。今後、更なる成長を目指すには、これまで取組んできた社員個人の満足度を向上させることはもちろん、社員が組織の企業理念やビジョン・目標に共感し、「ONE ROHM」として同じベクトルで歩みを進めることが必要となります。
-
※過去の従業員満足度調査結果
対象者数 | 回答者数 | 回答率 | |
---|---|---|---|
2013年度 | 3,213 | 3,115 | 96.9% |
2015年度 | 3,340 | 3,220 | 96.4% |
2017年度 | 3,390 | 3,112 | 91.8% |
上述の考えのもと、ロームでは、「企業が掲げるビジョンを、従業員が理解・共感し、その達成に向けて、個々の能力を自発的に発揮する社員」を増やしていくことを目指し、2021年度より、従来の単に従業員が満足しているかどうかを測る従業員満足度調査から、企業が目指す方向性や姿を物差しとして、それらについての従業員の理解度、共感度、そして行動意欲を測るエンゲージメントサーベイに調査方法を変更しました。
更なるエンゲージメント向上に向けて、2022年度は管理職を対象とした「対話のワークショップ」の開催や、「組織風土委員会」による若手社員同士の交流の場や経営陣と若手社員の「対話」の場となる「WEB Café」の開催などの施策を企画・実施してまいります。
<責任者コメント>
2021年に発表した中期経営計画において、ロームグループ全体で「エンゲージメントサーベイ」を実施すること、そして、そのスコアを非財務目標の一つに設定することを決定しました。そして、ローム本社においては、2021年度にエンゲージメントサーベイを実施し、国内外のグループ会社については、2022年度に実施予定であり、今後は、各社共に2年に1回の頻度で継続的に実施していく計画です。
今回、ローム本社で実施したサーベイでは、99%の従業員が回答し、目標としていた、「業界平均以上」というスコアをクリアするなど、全体としては満足できる結果であったものの、管理職と非管理職の間に存在するギャップなどの課題も明らかになりました。
今後は、サーベイの結果を踏まえ、各部門においてアクションプランを検討し、今後の改善に向けた取組みを実行していくことで、エンゲージメントの向上に繋げてまいります。
また、2021年度より、エンゲージメント向上に向けた取組みの1つとして、「対話」の風土醸成に向けた、社長との「座談会」を実施しています。コロナ禍ということもあり、オンラインも活用しながら非管理職の社員対象の会を2020年9月に計5回開催し、50名が参加しました。また、管理職対象の会を、2020年10月から2021年12月にかけて計22回開催し、253名が参加しました。
今後も、経営陣との直接の「対話」も継続しながら、従業員エンゲージメントの向上を図り、持続的な成長を実現できる、企業風土の醸成を推進してまいります。

経営戦略本部
木村 誉勧
経営戦略本部
コーポレート企画推進室長
木村 誉勧
TOPIC.パーパス経営に関するワークショップの実施
2021年10月、12月に外部講師の名和高司氏(一橋大学ビジネススクール 教授)をお招きし、経営層・部門長を対象にパーパス経営に関する講演会、ワークショップを開催しました。本ワークショップは、パーパス経営の重要性の理解深化と、経営ビジョンの実現に向けた取組みの更なる推進を目的としています。
※ワークショップは部門長・拠点長を対象とし、計2回実施しました。
経営層や会社をけん引する立場にある部門長は、経営ビジョンの全社浸透と、社員一人ひとりに社会からの期待とロームの存在意義、自身の責務を伝え、行動を起こせるように働きかける役割を担っています。
ワークショップでは、「ロームのパーパスとは?」「パーパス経営を推進する上での課題」を議題として、チームに分かれて議論を行いました。課題については、外部講師との対話を通じて会社の課題から部門の課題、部門の課題から自身の課題に落とし込むことで、パーパス経営を推進する上で重要な項目の見える化や部門長間での共有につなげることができました。
【第三者意見】
今回の講演会&ワークショップを通して、パーパス経営を実践していこうとしている皆さんの強い意気込みが伝わりました。「自分たちがどんな会社を目指したいのか」という原点に立ち返って、パーパスと現状とのギャップを改めて認識し、深く内省いただく機会を得られたのではないかと感じています。
皆さんとの対話の中で感じたのは、持てる経営資源を最大限活用して、ロームの独自性を追求し、顧客満足度の高い製品、社会を豊かにする製品を生み出そうとされている強い熱意です。パッションがないとアウトプットには繋がりません。その素地をお持ちの点がロームの大きな強みだと感じました。
一方、アドバイスとしては、社会におけるロームの存在意義(パーパス)を認識し、見出だす機会を増やしていくことが重要だと感じました。「お客様の想いに寄り添う」から「お客様をリードする」という気持ちで、今後、お客様を含めた社外の方達と未来を描く話を重ね、さらにその内容を社内にフィードバックすると共に、社内でも対話を深めていくと、社員が自社のパーパスについての共通認識を持つことができます。
また、仕事をモジュール化することもパーパス経営の実現に必要なポイントです。一人ひとりが持っているスキルに頼るだけではなく、業務を「仕組み化」させることで業務プロセスが整理されます。その結果、企業の価値創造につながる新しいアイデアを、社員が創造力を持って考える時間が創出できます。これらに取組んでいただくことで、「ビジョン」「中長期目標」と自身の業務のつながりを社員が腹落ちでき、あるべき姿に向けた取組みを加速させることができると思います。
<名和 高司氏略歴>
- 東京大学法学部、ハーバード・ビジネス・スクール卒業(ベーカースカラー授与)。三菱商事を経て、マッキンゼーで約20年間勤務。自動車・製造業プラクティスのアジア地区ヘッド、デジタル分野の日本支社ヘッドなどを歴任。デンソー(~2019年まで)、ファーストリテイリング、味の素、 SOMPOホールディングス(いずれも現在も)などの社外取締役、朝日新聞社の監査役、ボストン・コンサルティング・グループ(~2016年まで)、アクセンチュア、インターブランド(いずれも現在も)などのシニアアドバイザーを兼任。2014年より、「CSVフォーラム」を主催。『パーパス経営』、『経営変革大全』、『全社変革の教科書』。『CSV経営戦略』、『稲盛と永守』、『シュンペーター』など著書多数。

一橋大学ビジネススクール
客員教授 名和 高司氏
一橋大学ビジネススクール
客員教授 名和 高司氏