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サステナビリティ対談ロームのサステナビリティ

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ステークホルダーから選ばれる企業を目指して

本インタビューは、ROHM Group Integrated Report 2023に掲載されたものです。

ロームが目指すサステナビリティ経営実現に向けて

山本

ロームがグローバルメジャーとなるためには、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様からの信頼につながるサステナビリティ経営が欠かせません。私は2023年4月にCSO(Chief sustainabilitiy Officer)に就任しましたが、CSOの役割とは、持続的に価値を創造できる企業を目指し、非財務目標の達成を通じて経営の質を改善していくことだと考えています。近年は、コーポレート部門だけでなく、現場の最前線となる事業部門においても、お客様からのサステナビリティの要請やお取引先様との連携の重要性が高まりつつあります。そのような中、サステナビリティ経営に造詣の深い村松さんを社外取締役にお迎えしたことは、サステナビリティ課題を経営戦略の一つに盛り込み、より深く議論と検討を進めていく推進力になるものと考えています。

村松

ロームは創業当時から企業理念・存在意義にサステナビリティが内在しており、時代に合わせてアップデートしながらCSR、サステナビリティ経営に取り組んでいる企業だと思います。特に、電子部品業界はサプライチェーンを含めてグローバル基準で動いており、日本企業の中でも、環境やリスク対応などで、リードしている業界です。私は外資系半導体メーカーに25年務めた後、10年以上にわたり、日本企業におけるサステナビリティ経営導入や健全な組織づくりに携わってきました。双方の経験を踏まえると、現在は加速度的に世の中の価値観の変化が起き、また企業の評価軸も変化していると実感しています。ロームの制度や体制は十分整備されていますが、お客様やサプライヤー対応は日本国内だけで動きを見ていては世界市場に遅れるため、より先を見据えてプロアクティブに先進企業の水準を目指していく必要があります。ロームが、グローバル基準の中でいかに強みを出していくかが、求められているのではないでしょうか。

山本

山本

グループ全体にかかわるサステナビリティリスクへの対応を強化するため、2022年4月に経営と執行の分離を図り、経営側に「サステナビリティ経営委員会」、執行側に「EHSS統括委員会」を設置してから1年が経ちました。サステナビリティ経営委員会は毎月1回開催しており、2022年度には社外評価機関への対応のあり方、TCFDの開示や再生可能エネルギーの導入推進、人的資本関連の開示のあり方などを議題に、多角的な視点で議論・検討を行いました。このように、サステナビリティ関連の社会動向や課題を担当部門から届いた情報をもとに、経営陣で議論できる体制が始動しています。サステナビリティ課題はいまや企業経営全般にかかわる根幹の課題です。現在、社内の全取締役、そしてサステナビリティ経営に造詣の深い村松さんと共に議論ができるようになったことは大きな進歩だと考えています。今はまだローム単体の課題テーマになってしまっていることも多いため、今後はグループレベルで、かつバックキャストの視点から議論を深めていく必要があると考えています。

村松

私は昨年6月に就任以来、サステナビリティ経営委員会に毎回参加しています。サステナビリティ課題については取締役会でも取り上げていますが、十分な議論を行うためには、取締役全員がサステナビリティ課題に対しての共通理解や責任意識を持っていることが必要です。今は意思決定やマネジメントを広げていくために、まずは業務執行の取締役の方たちが毎月、さまざまなテーマで理解を深め、議論しているという段階です。社内取締役からは4人が参加して活発に議論が行われており、時には厳しい意見も私の方から率直に発言させていただいています。今後は、同委員会の情報が取締役会でどのように共有されていくか、諮問機関としての機能を果たしているか、EHSS統括委員会に展開できているかという観点から、モニタリングと助言を行っていきたいと考えています。

非財務課題の取り組みの進捗について

山本

現在の中期経営計画では、「気候変動への対応」「従業員エンゲージメントの強化」などの非財務目標を定めています。環境目標のターゲットは2030年度としていますが、2025年度の中間目標も設定しており、TCFDの情報開示拡充、再生エネルギーの導入促進など、目標をしっかり達成しています。環境や人権に配慮したCSR調達はセルフアセスメントも含め、毎年目標を定めてサプライヤーにアンケートを取りながら監査を実施するなど、取組みを進めています。評価が低い企業様には、改善に向けて連携しながら積極的に働き掛けをしているところです。

村松

環境については、先んじて環境リスクの管理基盤を作り上げ、長年にわたり取組みを進めてきた結果がついてきているのではないでしょうか。今後は気候変動の機会とリスクをどのように事業戦略と紐づけていくか、TCFDやTNFDの本質的意義をどのように社内に浸透し、実行していくかが重要なポイントになると思います。日本企業のサステナビリティ調達は、欧州と比較するとなかなか進んでいませんが、グローバルメジャーを目指す上では、世界市場でもっとも高い基準を見据え、ロームの社内基準を整備していくことが必要です。それをサプライヤーと共に実施し、バリューチェーン全体のサステナビリティの水準を向上させることは社会課題解決に結びつくような製品・サービスを生み出すことにもつながるでしょう。

村松

山本

今言われた内容については、事業との関連性を理解し、全社を巻き込んで進めていきたいと考えています。その他の非財務課題に対しては、グローバル女性管理職比率が2022年度時点で12.6%と、2025年度目標の15%に対して順調に進んでおり、お客様の品質満足度スコアも同様です。従業員エンゲージメントスコアの調査は海外関係会社が2022年に実施済みで、ロームは2023年度中に2回目を実施する予定です。人的資本の取り組みは人事部主導で進めがちですが、本来は事業部や他のセクションも交えて進めるべきだと考えています。今後、サステナビリティ経営委員会で検討と議論を行っていく予定ですが、村松さんからは異なる目線も必要ではないかというご指摘をいただいています。

ONE ROHMとしてのシナジーの最大化を目指して

村松

人的資本は、取締役会やサステナビリティ経営委員会でもよくテーマとして議論しています。人的資本の施策はこれまで本社人事部門や部署ごとに実施してきていますが、ONE ROHMとしてのシナジーを最大化していくためには、ダイバーシティや人財戦略、組織開発について、今一度グローバルレベルでの基盤づくりや戦略的な取り組みを加速していく必要があると感じています。現在、サステナビリティ経営委員会や取締役会でも議論を重ねているところです。

山本

人財戦略として、社員一人ひとりが自律的な意識を持って自身のキャリアや能力を伸ばしていける体制を作り、それを経営の成長にもつながるようにしたいと考えています。2022年度に新設した「ジョブポスティング制度」では各部門からの求人を社内に開示・公募することで、自らの意思で希望し、チャレンジを実現できるようにしました。

村松

目指す姿は山本さんがお話しされた通りだと思います。ロームはこれまで、日本社会や日本のビジネスに合った形で品質の高い製品を作り、生産効率を向上させることで成長してきました。そして今後、世界的に変化の大きい社会状況・経済状況の中で、ロームが持続的に成長するためには、グローバルの多様な人財一人ひとりが最大限の能力を発揮することができ、ワンチームとして機能する組織体制とマネジメントが鍵になります。
人的資本をどう捉え、人財戦略をどう進めていくかが企業にとって重要な課題となっています。ロームは現在、松本社長の指揮のもと、組織の多様性を高め、チャレンジする企業風土への変革を進めていますが、さらなる推進が必要だと思います。

社外取締役の知見を活かしガバナンスを強化

山本

社外取締役の方々には、ESG・サステナビリティ分野において各自の専門性を発揮されることを期待しています。2022年に独立社外取締役比率をさらに引き上げ、社外取締役が過半数を占める体制となりました。今後、取締役会の実効性をより強化するために、外部機関による評価を導入していく予定です。

村松

取締役会では、南雲さんはグローバル経営のご経験から、ケネバンさんはまた異なる視点からESG分野の発言をされており、社外取締役はそれぞれの専門性に基づいてサステナビリティ経営の高度化に向けた助言を行っています。サステナビリティ・ガバナンスの実践を通じて、役員と社員の当事者意識が高まり、ESG・サステナビリティがロームグループの事業にとって不可欠な要素であり、企業価値向上につながることを実感できるようになることを期待しています。

ロームの持続的成長のために

山本

ロームがサステナビリティ経営を高度化させる余地は、大いにあると思っています。今後も村松さんや他の社外取締役の方々の助言のもと、サステナビリティ経営につながる取り組みに積極的な投資を行い、強固な経営基盤の構築につなげ、社会価値の創造と企業の成長を実現していきたいと思います。

村松

今日では、企業の変化への対応力、社会的責任、説明責任が強く問われています。私は、株主をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様からの期待に応えられるよう、実効性の高いサステナビリティ・ガバナンスの構築に貢献し、ロームの持続的な企業価値向上に向けて、社外取締役としての責務を果たしていきたいと思います。

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