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リスクマネジメント事業活動の基盤

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リスク管理・事業継続方針

「企業目的」「経営基本方針」などの目的・方針を実践し、ロームグループにおけるリスク管理と事業継続マネジメントを推進するため、以下の通り定める。

リスク管理

  • ・グループ一体となったグローバルなリスク管理を推進する。
  • ・重要リスクを特定・評価するとともに、損失を最小限に抑えるための対策を行う。
  • ・重要リスクの評価や対応状況を定期的に見直し、経営陣と共有する。
  • ・事案発生時には速やかに情報収集・報告を行い、適宜、事業継続・復旧計画に移行する。

事業継続

  • ・社員及び関係者の安全確保・安否確認を最優先事項とし、火災や環境汚染などの二次災害の発生防止に努める。
  • ・サプライチェーンを維持するため、迅速な生産復旧・事業復旧を図る。
  • ・会社として求められる社会的責務の遂行を図る。
  • ・事業継続マネジメントの推進及び復旧活動は、経営陣の指揮のもと全社一丸となって取り組む。
  • ・事業継続計画を事業環境の変化に応じて定期的に見直し、事業継続マネジメントシステムの継続的な改善に努める。

推進体制

事業活動を進めていく上で、様々なリスクが財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性が考えられます。ロームグループではこうしたリスクを回避、あるいはその影響を最小限に食い止めるため、リスクマネジメントの強化に取り組んでおります。2022年に設置された「EHSS統括委員会」の下、「リスク管理・BCM委員会」(年4回開催)を組織しており、グループにおいて発生する可能性のある重要リスクを抽出した上で、発生頻度と事業に与える影響度の側面からリスクマップにて評価し、対策を管理・推進しております。また、各マネジメントシステムおよび部署の活動状況を確認するとともに、事業継続計画(BCP)の策定等を進め、あらゆるリスクに対応できるよう、全社に徹底を図っております。

EHSS(Environment、Health and Safety、Sustainability)統括委員会:8つの下部マネジメントシステム(環境、安全衛生、労働、倫理、情報、サプライチェーン、品質、リスク管理BCM)を司り、それぞれのPDCAが適切に回っているかを確認する経営の執行責任者により構成された会議体

基本的な考え方と推進体制

リスクマネジメント体制

リスクマネジメント体制

リスクマネジメントの活動サイクル

リスクマネジメントの活動サイクル リスクマネジメントの活動サイクル

PLAN

重要リスクの洗い出し
  • 「リスク管理・BCM委員会」にて、企業を取り巻く様々なリスクを想定。
  • 各マネジメントシステム・部署を通じてグループにおける重要リスクを抽出。
主管マネジメントシステム・部署の決定
  • リスク予防及び発生時の主管となるマネジメントシステム・部署を明確化。

DO

リスク対応
  • 主管マネジメントシステム・部署にてリスクを分析・評価の上、対応方針を決定。
  • 当該対応方針に基づき対応。

CHECK

リスク管理体制の確認・評価
  • 「リスク管理・BCM委員会」にて、主管マネジメントシステム・部署のリスク管理体制の状況を確認・評価。

ACTION

リスク管理体制の是正
  • リスク発生の可能性が高い場合、必要に応じて主管マネジメントシステム・部署に指示の上、是正。
啓発
  • リスク情報提供等、ロームグループ内への周知。
レビュー
  • EHSS統括委員会へ報告。

中期目標と実績

ロームは、2021年に指導した中期経営計画を達成する上で、重要な課題として「リスクマネジメント」を挙げると共に、2025年度の達成目標を策定しました。社会とロームの持続成長を目指し、取り組みを進めてまいります。

リスクマネジメント
【取り組み意義・背景】
経済のグローバル化や社会の変化とともに、企業を取り巻くリスクが多様化する中、事業に関する社内外の様々な不確実性を適切に管理することは、経営戦略や事業目的を遂行していく上で欠かせません。大規模な自然災害や事故、感染症等の流行等で被害を受けたとしても、重要業務が中断されないこと、また万が一中断しても可能な限り短い期間で復旧・再稼働することは、企業としての重要な責任です。当社グループは、「リスクマネジメント」を事業基盤の重要な経営課題と位置付け、業務及び業績に支障をきたすおそれのある事象を「リスク」として捉え、その発生を最小限に止めるとともに、事象が発生した場合でも円滑に事業継続・復旧を行うための対策に取り組みます。
テーマ 達成目標(2025年度) 2022年度目標 2022年度実績 2023年度目標
BCM管理体制の強化 継続的なリスクの洗い出しを通じてBCP体制を強化を図る
  • ・ 2021年度に実施した活動の継続
  • ・ EHSS統括委員会の各マネジメントシステムとの連携による、より強固なリスクマネジメント体制の構築
  • ・ 社員一人ひとりの防火・防災意識を向上するための取り組みを実施
  • ・ 4半期毎開催のリスク管理・BCM委員会にてグループのリスクの洗い出し・評価・対策状況の確認を実施の上、主要なリスクについてEHSS統括委員会へ報告
    リスク発生の予兆や対策の進捗状況をモニタリングするための指標を作成
  • ・ 経営層も参加するBCM対策本部を中心とした地震対応BCM訓練をリモートワークツールも活用して実施し、災害時の対応の有効性について検証
  • ・ 火災・水災に特化したリモートリスクサーベイを国内・海外主要生産拠点にて実施し、火災・水災リスクへの対応状況を確認
  • ・ 国内海外グループ会社に赴き、防火・防災内部監査を実施
  • ・ クリーンルームの「火災予防ガイドライン」を策定し、グループ内に展開
  • ・ 新型コロナウイルス対策として、行政のガイドラインに沿った社内基準の見直しと柔軟な対応
  • ・ ローム社員を対象とし防災意識向上のためのeラーニングを実施
  • ・ 2022年度に実施した活動の継続
  • ・ EHSS統括委員会の各マネジメントシステムとの連携による、より強固なリスクマネジメント体制の構築
  • ・ 社員一人ひとりの防火・防災意識を向上するための取り組みを実施
  • ・ 火災の未然防止を目的とした火災リスクアセスメント体制の構築

【関連する取り組み】

リスクマネジメント

事業におけるリスク

事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、ロームグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識しているリスクとこれらのリスクへの主な対策は以下の通りです。また、文中における将来に関する事項は2023年6月27日時点においてロームグループが判断したものです。

以下は全てのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

1.事業戦略・市場変動に係るリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロームグループは注力市場として「自動車関連分野」、「産業機器関連分野」、「海外市場」を、また注力商品として「パワー」、「アナログ」、「汎用デバイス」を掲げるなど、より成長が見込める市場、あるいはロームグループの強みを発揮できる市場や技術に、重点を置いております。こうした重点分野においては、今後グローバルな競争がより激化する可能性があり、コストダウンの限界を超えた価格競争や熾烈な開発競争に巻き込まれる可能性があります。また、社会ニーズの様々な変化等により市場成長の鈍化や市場の縮小が起こる可能性があります。こうした市場の動向や競争環境の変化により、ロームグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
主な対策 このようなリスクに対し、EV化へのシフトが期待される自動車関連分野や中長期的に成長が期待される産業機器関連分野などへの製品ラインアップを強化し、顧客ニーズを先取りする提案型の営業体制への見直しなどを進めております。また、ロームグループが強みを持つ「パワー」、「アナログ」及び「汎用デバイス」などの技術領域を中心とした新製品・新技術の開発を進め競争力を高めております。
グローバルな競争力を持つ商品開発を行うために、技術や市場に精通したPME(Product Marketing Engineer)を海外に派遣し、欧州、中国、台湾、米国を中心にグローバルレベルで市場のニーズを先取りする新製品の商品企画と製品の詳細仕様の落とし込みを行います。これにより、幅広い地域の顧客に喜んでいただける新製品の市場へのインプット数を増やしております。
また、海外市場での売上を上げるため、世界中の販売ネットワークが全体最適の戦略の下に活動できる販売体制を整えております。また、顧客である完成品メーカーの開発動向などの技術情報を熟知したFAE(Field Application Engineer)を中心に据えた「SSE(System Solution Engineering)本部」を組織し、ソリューション提案力の強化を進めております。営業担当者とFAEとの連携によって、顧客が求める最適なソリューション提案ときめ細かな技術サポートが全世界で提供できる体制となっております。
2.M&Aリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロームグループでは企業価値の向上を目的として、将来的な事業展望を見据えた既存事業の拡大や、既存技術を元にした新規分野への進出、及び新規技術の獲得や有望な人財の確保を視野に入れたM&Aをワールドワイドに検討・実施していく必要性があると考えております。一方、買収前のデューデリジェンスで検証すべきガバナンス・マネジメントの仕組みや体制、業務体制、シナジー仮説などの検証が不十分であると、買収見積額が実際の価値を上回ってしまい、結果的に損失を被る事態にもなりかねません。
買収後においてもPMI(Post Merger Integration)が適切に行われず、想定外の事態の発生や市場動向の著変等が原因で、買収事業が所期の目標通りに推移せず、場合によっては損失を生む可能性があります。
主な対策 M&Aに当たっては、自社の事業戦略に沿った買収候補企業の探索を事前に行います。
また、実施段階においては、専門のプロジェクトチームを組成し、適正な意思決定をするために必要に応じて外部のアドバイザー企業も起用して第三者視点を織り込み、買収前の十分な調査・検討・審議の上、判断を行ってまいります。
買収後のPMIを有効なものとするためにも、買収前から視野に入れ計画を策定、実行しております。
3.為替リスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロームグループは開発・製造・販売の拠点を世界各地に展開しており、多通貨での収益・費用及び資産・負債が発生しております。各拠点の会社通貨の財務諸表への換算、連結財務諸表への円換算は為替レートにより変動し、業績及び財政状態に影響を与えます。
また、ロームグループは日本、アジア及びヨーロッパにて生産活動を行うとともに、世界市場において販売活動を行っております。このため、生産拠点と販売拠点の取引通貨が異なり、常に為替レート変動の影響を受けております。概して言えば、円高の場合は業績にマイナスに、円安の場合にはプラスに作用します。
主な対策 為替変動リスクを軽減するため、外貨建ての営業債権に対して、一定程度の為替予約を行っております。
4.自然災害・感染症に関するリスク 発生頻度:小 影響度:大
内容 ロームグループは日本のみならず世界各地で開発・製造・販売活動を行っており、地震や洪水等の自然災害の発生や感染症の蔓延による稼働率の低下など、当該地域の生産や営業拠点が損害を受ける可能性があります。また、これらのリスクが複数の地域で同時に発生する可能性があり、ロームグループのみならず、顧客やサプライヤーなども含めたサプライチェーン全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。
主な対策

ロームグループでは、リスク分散のために生産ラインを世界の複数拠点に配置するなどの対策をとっております。また、リスク管理・事業継続方針の下、各拠点で活動しており、中でも生産機能を持つ国内外の主要拠点では、外部専門機関と協力し、自然災害、感染症、安全、操業・経済・政治リスクの観点からリスクアセスメントを行い、工場ごとにトップリスクを特定・分析・評価しております。その上で、対策委員会等を組織し、事業継続計画の立案や、それに基づく訓練など、有事に備えた様々な取り組みを行っております。
また、感染症については、従業員、顧客及びサプライヤーの安全を第一に考え、感染リスクの継続的な低減のために、在宅勤務などフレキシブルな働き方の実施とそれを可能とするITツールの導入と活用の促進など種々の対策を実施しております。
顧客に対する供給維持対策としましては、稼働縮小や一時停止に対応するため、一部の機種をロームグループ他拠点及びOSAT(※)への移管を進め、更にフレキシブル生産ラインや省人化ラインの開発など、起こりうるリスクの低減に向けて長期視点で対策に取り組んでおります。

OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)
半導体製造における後工程である組み立てとテストを請け負う製造業者のこと。

5.気候変動に関するリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 世界的な気候変動により、過去に例のない異常気象による被害、炭素税の導入やステークホルダーからの要請への対応に伴う想定を超える費用の発生、また、リスクの顕在化に伴うブランド価値の低下等、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
主な対策

環境課題について、2021年4月に「ロームグループ環境ビジョン2050」を策定し、「気候変動対策」、「資源循環型社会の実現」、「自然サイクルと事業活動の調和」を目標として設定し、取り組みを進めております。ロームグループでは、気候変動対策に関して、継続的な省エネ施策に取り組むことによる温室効果ガス排出量の抑制に努め、更に太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの導入に取り組むなど、グループ全体において気候変動対策を推進しております。
2021年9月に脱炭素社会実現に向けた「2030年中期環境目標」を改定しました。同時に、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD※1)の提言に賛同し、TCFD提言に沿った情報開示を行っております。
また、2022年4月には事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際企業イニシアティブ「RE100※2」に加盟しました。

1.TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応方法を検討する目的で設立された組織。企業等に対して気候変動関連リスクおよび機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」を把握・開示することを推奨している。

2.RE100(100% Renewable Electricity): The Climate GroupがCDPとのパートナーシップのもとで主催し、We Mean Business連合の一部としても運営している国際企業イニシアティブ。日本では2017年より日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が、RE100の公式地域パートナーとして日本企業の参加と活動を支援している。

6.地政学的リスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロシア・ウクライナ問題の長期化、台湾近辺における軍事的緊張の高まり、米国・中国の二国間関係など、各国・地域の国際関係は不確実性を増しています。グローバルで事業を行うロームグループにとって地政学上のリスクは事業撤退や操業停止など直接的な生産・営業活動への影響だけでなく、材料調達や顧客との取引などサプライチェーン全体に影響をもたらす可能性があります。
また、あらゆる産業の製品に使用される半導体をめぐっては各国・地域が経済安全保障上の重要物資として保護主義的な政策を進めており、それらに適切に対応できなければ、行政罰や法的制裁によりロームグループの事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
主な対策 ロームグループでは、リスク管理・BCM委員会を中心に経営に影響を及ぼす可能性のある地政学上のリスクについて情報収集やモニタリング、対策を実施しております。
各地域の事業拠点においてもリスクの特定からリスク管理対策や事業継続計画の策定・推進を進めており、従業員の安全を確保しながら事業への影響を最小限に抑えるための活動に取り組んでおります。
また、半導体関連製品の輸出規制に関しては、全社の関連部署からなる輸出管理専門部会が弁護士と連携しながら適正な安全保障輸出管理を実施しております。
7.法的リスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループでは、他社製品と差別化できる製品を製造するために様々な新技術やノウハウを開発しており、こうした独自の技術を背景に世界中で製品の製造・販売を行っております。そのためロームグループで保有する知的財産権の保護並びに他社との紛争の回避が必要不可欠になってまいります。
また、ロームグループが事業を行うあらゆる領域において、排気、排水、有害物質の使用及び取扱い、製品含有化学物質の管理、廃棄物処理、土壌・地下水汚染等の調査並びに環境、健康、安全等を確保するためのあらゆる法律・規制を遵守しております。しかしながら、事前に予期し得なかった事態の発生などにより何らかの法的責任を負う場合には、業績に影響を及ぼす可能性がありす。
主な対策 ロームグループが使用している技術やノウハウは、知的財産権等で保護し自社技術を守りつつ事業競争力を高めるとともに、他社の保有する知的財産権を侵害しないように社内調査や、製品開発時のチェックなどを通じて厳重に管理しております。
また、ロームグループでは、環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001に準拠した環境マネジメントシステムをグループ全体で構築し、運用することで環境負荷削減をはじめとする環境保全に向けた継続的な環境改善を進めております。取り組みに当たっては、ローム本社に設置した「環境保全対策委員会」が中心となり、法令や規制等に基づく生産や各拠点における活動・サービスに起因する環境影響を管理し、拠点ごとの内部監査で明らかになった改善点などをグループ各社に水平展開を行っております。
8.人財確保に関するリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 デジタル化や脱炭素といった大きな転換期の中、少子高齢化に伴う構造的な労働力不足の影響もあり、事業活動における人財確保の必要性がより一層高まってきております。ロームグループにおいても、特に高度専門人財を継続的に育成・確保できなければ、競争力の低下につながる可能性があります。
長期的に人財を育成、確保し続けるためには、いかに広く有能なる人財が活き活きと活躍できる舞台を整えられるかが重要です。従業員の会社に対するエンゲージメントと生産性を高め、一人一人の能力が最大限に発揮されるよう人事施策・制度の充実・強化も重要となっております。
主な対策 ロームグループでは、経営基本方針の中で、「広く有能なる人材を求め、育成し、企業の恒久的な繁栄の礎とする。」と掲げております。10年後の飛躍的な成長を見据え、その礎となる人財を確保するため、ここ数年は、100名以上の中途採用を進めており、多様なバックグラウンドを持った人財を積極的に採用しております。
また、そういった人財が長期的に活躍できる環境も整備しております。ローム本社の持続的成長を支える高度専門人財が、持てる力を存分に発揮できるよう、従業員のキャリア制度を大幅に見直し、2019年度に「スペシャリスト職制度」を創設しました。高度な専門スキルを以て会社に貢献する従業員を「スペシャリスト職」として認定し、その道の第一人者としてのキャリアパスを明確化する制度です。技術・専門性の継承、後進の育成、イノベーションを通じた企業価値の向上を目指し、高度専門人財の計画的育成を図っております。
加えて、2022年度より開始した「ジョブポスティング制度」では、注力事業の強化・増員時の求人を、社内にも開示・公募することで、自ら手をあげて異動を実現できる機会を提供しております。人財の内部流動性が高まることで、急速な環境変化への機動的対応を可能にし、注力事業に必要な人財を確保することにもつなげております。
更に、一人一人がそれぞれのライフスタイル・ライフステージに合わせて柔軟に働くことができるよう諸制度の導入を行っています。育児・介護休暇の充実に加え、在宅勤務制度や勤務地変更制度等を通じて、安心して働き続けることができる環境づくりにも注力しております。
今後も、優秀人財が活き活きと活躍できる舞台を整えていくため、エンゲージメントサーベイを活用し、組織のあるべき姿と現状・課題のギャップを把握の上、効果的なエンゲージメント向上施策に取り組んでまいります。
9.情報セキュリティに関するリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 顧客やサプライヤーに関する情報、並びに、ロームの保有する情報を適切に管理することは、社会により良い商品やサービスを提供し、信頼される企業経営を行う上で欠かすことができません。一方で、近年、企業を標的にした組織犯罪化された高度なサイバー攻撃や、退職者による機密情報の持ち出しといった人に起因する情報漏えい事案なども多数報道されており、技術的・物理的なセキュリティ対策の強化のみならず従業員一人一人の情報リテラシーの向上が急務となっております。
これらに適切に対応できなければ、機密情報並びに個人情報の漏えいやシステムダウンによる事業停止など、ロームグループの企業活動や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、各国で個人情報保護法令やデータ保護規制の制改定や運用強化が行われており、これらに違反した場合には、社会からの信用を喪失し、企業活動の差し止めや多額の罰金を課される可能性があります。
主な対策 ロームグループでは、事業活動を行う中で取扱うロームグループ及びステークホルダーの機密情報並びに個人情報について、情報セキュリティ方針や機密情報管理方針、プライバシーポリシーなど、情報の管理ルールを整備し、適切に管理・運用しております。
情報セキュリティマネジメントシステムの認証である、「ISO/IEC27001」を2013年より取得し、運用及び認証範囲を拡大することで、機密情報並びに個人情報について、漏えいの防止、不正利用の排除などの適切な情報管理を推進しております。従業員が使用するパソコンは外部の専門機関が24時間365日体制で監視しており、サイバー攻撃の予兆を早期発見、早期対処する体制を整備しております。有事の際には、被害を局限化、最小化し、速やかな復旧につなげることを目的とする、組織内対応チームを設けています。また、同様の対策をグローバルで展開しております。
併せて、従業員の情報リテラシーの維持・向上のための施策として、従業員に標的型攻撃メールを模したメールを配信する訓練や、eラーニングなどの教育・啓発活動を定期的に実施しております。
10.人権リスク 発生頻度:小 影響度:大
内容 世界的な人権配慮の高まりにより、自社だけでなく調達先から顧客までのサプライチェーン全体で人権配慮が求められております。特に開発途上国における強制労働や児童労働、低賃金、職場や地域における安全衛生配慮などが不十分な場合、社会的な信頼の損失につながる可能性があります。
また各国や国際団体等で人権関連のガイドラインや法規制の制定が進む中、サプライチェーンを含めた自社の人権に関するリスクを特定し対応しなければグローバルで事業を行えなくなる可能性があります。
主な対策

ロームグループはグローバルに事業を展開する企業として、人権が尊重された持続可能な社会の構築が重要との認識のもと、国連グローバル・コンパクトなどの国際原則・規範を支持・準拠し、尊重しております。また、ロームグループ人権方針を定め人権尊重への取り組みやデューデリジェンスに取り組むことを宣言しております。具体的には従業員やサプライヤーを対象としたホットラインの整備、英国現代奴隷法に関する声明の発行等が挙げられます。
また自社だけでなくサプライチェーン全体でその取り組みを進めており、RBA※1行動規範などの国際規範に基づき自社やサプライヤーの労働状況や取り組みに問題がないことを監査や調査票を通じて確認し、必要に応じて改善を要請しております。また、販売代理店を通じた販売等においても、その供給先が各種法令のみならず、人権に関する準則等に違反しないことを誓約いただくなど供給先においても人権侵害が生じないように取り組んでおります。
<ロームグループが支持する国際原則・規範>
 国連グローバル・コンパクトの10原則
 世界人権宣言
 国際労働機関(ILO)「労働における基本原則及び権利」
 国連ビジネスと人権に関する指導原則
 OECD多国籍企業行動指針
 ISO26000
 RBA(Responsible Business Alliance)行動規範

1 RBA電気・電子機器(エレクトロニクス)産業又はそれらを主部品とする産業のサプライチェーンにおいてCSRを推進するアライアンス。労働、安全衛生、環境、倫理、管理システムの分野について行動規範を定めている。

11.研究開発活動リスク 発生頻度:小 影響度:大
内容 エレクトロニクス分野における研究開発は激しいグローバル競争の中にあり、新製品等の開発の遅れは競争力の低下に直結し、新市場を失うリスクにつながります。
研究開発の遅れを招く要因として、最適人財不足による停滞、人財の画一性による狭窄、技術の陳腐化による劣敗、規制逸脱やコンプライアンス違反がもたらす活動停止といった具体的なリスクが想定されます。結果として、将来的な業績に影響を及ぼす可能性があります。
主な対策

5年程度先を見据えたリソースの重点配分に留まらず、長期的ビジョンに基づく新規分野への リソース配分を担保し、シームレスな持続的成長につながる研究開発活動を実現します。グロー バル採用・キャリア採用を含めて多様な人財を獲得しつつ、オープンイノベーションや不断のテ ーマ見直しを行うことで、常にニーズを先取りするアクティブな研究開発を展開します。加え て、適法かつ公正な研究開発体制を維持することで、インシデントリスクを未然に回避する研究 開発を継続します。 また、10年後あるいはそれ以上先の将来に関しては、国内外の多くの大学との共同研究な ど、外部との連携を強化しております。更に、オープンイノベーションの取り組みとしてCVC(Corporate Venture Capital)を実施しております。

12.製品の欠陥リスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループでは、企業目的で「われわれは、つねに品質を第一とする」を基本理念に掲げており、厳しい品質管理のもとに生産を行っておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来において販売先からの製品の欠陥に起因する損害賠償請求等が発生しないという保証はありません。万一、損害賠償請求があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
主な対策

ロームグループでは、各事業本部の品質部門が設計品質を保証し、各生産本部の品質部門がつく り込み品質を保証しております。
また、社長直轄部門の一つである品質本部は、事業本部、生産本部の枠を超えた全社の品質保 証システムの構築や情報展開及び各事業・生産本部の業務監視を行っております。また、社外で 頻発している品質コンプライアンス違反に対するリスクを低減するため、品質保証部に「品質監 査室」を設置しております。
事業本部、生産本部における新製品開発では、顧客要求を満足する安全で、信頼のおける製品 をタイムリーに提供するため、開発検討、設計審査、初期流動、量産の各段階で評価を行いま す。改善情報は源流にフィードバックするとともに、次期設計に展開します。
また、生産本部のものづくり革新部における自社開発の組立加工装置では「設備で品質をつく り込む。不良を作れない設備」を目標に、装置自身が自己診断したり、不良を作らないようにす ることを目指しております。
万一、製品に起因する不具合が発生した場合、ローム製品は現品から生産情報(製造時期若しく はロッ卜情報)がトレースできます。ロッ卜情報からは、全工程の4M情報(Man、Machine、 Material、Method)が確認でき、それぞれの生産条件、出来映えについて迅速に調査でき、波及 性を限定できる体制となっております。
加えて、ロームグループでは以下の国際的な品質マネジメントシステム等に基づき、欠陥が発生 しない管理体制の構築を進めております。

  • ・ISO9001:品質マネジメントシステム
  • ・IATF16949:自動車産業品質マネジメントシステム規格
  • ・ISO26262:車載電子制御の機能安全に関する国際規格
13.生産・調達活動に関するリスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループでは、垂直統合型のビジネスモデルを採用しておりますが、電子部品の製造にはレアメタルを含む様々な素材を必要とします。そのため、特定の供給元からの調達に制約が発生した場合、生産活動やコスト構造に悪影響を及ぼす可能性があります。
主な対策 事業部門においては、材料などの複数購買を進めるとともに、サプライヤーのBCP状況等に基づき適切な在庫管理を推進しております。
調達部門においては、有事の際にいち早くサプライヤーの被災・安否状況や供給状況の確認が取れるよう、調達部材の製造会社・製造場所の情報を調査し、データベース化するとともに、その調査範囲を二次サプライヤーまで拡大し、サプライチェーンのBCP状況の全体把握に取り組んでおります。
また、重要材料を扱うサプライヤーとは有事発生の際の対応方法を、当社とサプライヤーとの間で事前に合意する取り組みを進めております。

事業継続マネジメント

企業目的において「良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し文化の進歩向上に貢献する」と掲げ世界各地で開発・製造・販売活動を行っているロームグループでは、事業継続マネジメント(Business Continuity Management:BCM)の構築は経営における重要課題の一つであると考え、ロームグループ防火・防災方針を定め活動しています。中でも生産機能を持つ国内外の拠点では、災害などのリスクを特定した上で、対策委員会を組織し、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)の立案や、それに基づく訓練など、有事に備えた様々な取り組みを行っています。

ロームグループ 防火・防災方針

『国際規範等の尊重と法令遵守による防火・防災の推進により、災害の未然防止と災害への備えを図る。』
ロームグループは、防火・防災の継続的な取り組みを通して安心、安全な職場環境の提供と火災等の有事への備えを図るとともに、事業継続に影響を与えるような災害の未然防止に努める。

主な活動トピックス

【地震リスクへの対応】

1.ローム国内拠点:国内地震リスクに備えた「建物安全度判定支援システム」の導入

地震発生時に人の安全・事業継続の両面で迅速な対応を可能にするための「建物安全度判定支援システム」を、国内主要拠点・建屋に設置いたしました。本システムは、建物の揺れを地震直後に分析し、建物構造の安全度を3段階で判定するものです。
日本国内における事業活動上のトップリスクの1つである地震リスクに対し、建物の安全性をタイムリーかつ専門的・客観的に判定することが可能となり、社員・顧客をはじめとした各ステークホルダーの皆様の期待に更にお応えできる体制を築いています。

2.ローム本社:地震を想定した訓練の実施

ローム本社では、有事の際の社員等の安全確保と、中核事業の継続・早期復旧を目的としたBCM対策本部を設置し、定期的な想定訓練や動画を活用した教育を実施しています。
2022年度は、ローム本社にてBCM対策本部とその下部組織である実働班メンバーを対象に2会場をリモートワークツール等で繋ぎ情報連携を行うBCM対策本部訓練を実施しました。
在宅勤務や感染拡大防止等で全員が同じ場所に集合できないことを想定し、各自が集めた現場の情報をオンライン上で集約・整理・報告する方法や、対策本部に上がってきた課題に対してオンライン会議にて意思決定のための対策会議を開催することの実効性・有効性を検証しました。
各チーム・班の役割・活動に紐づく課題の明確化や、活動手順を再認識することができ、BCM・BCPの意識や対応力を向上することができました。

ローム本社:地震を想定した訓練
BCM対策本部訓練の様子

3.ラピスセミコンダクタ:東日本大震災を教訓とした訓練の実施

宮城の拠点では東日本大震災が起きた3月11日を総合防災訓練実施日に制定し、構内常駐会社も含め、全社的な訓練を実施しています。
この訓練はBCM対策本部が中心となり、全社員参加型の避難訓練や、災害復旧本部を設置し、東日本大震災で経験した生産回復までのプロセスを疑似的に再現することにより、リアリティのある訓練を行い、地震リスクへの対応を図っています。

ラピスセミコンダクタ:東日本大震災を教訓とした訓練
総合防災訓練の様子

4.ローム浜松:防災本部機能の維持、および情報管理・共有の強化

2019年度にBCM復旧対策本部を免震構造上に移設し、停電時には防災用発電機を接続して、本部機能を維持できるようにしました。また、2020年3月には浜松市沿岸部に防潮堤が完成しました。これにより、津波に対する減災効果が期待できます。
2022年度には夜間休日に大規模地震が発生した場合を想定し、リモートワークツールのチャット機能を活用して出社・初動報告する仕組みを構築しました。加えて防災備品の在庫確認、復旧対策会議も本ツールを活用し行えるよう体制を整備しました。

ローム浜松:防災本部機能の維持、および情報管理強化

5.ローム本社:サーバー室に免震装置を導入

ローム本社では地震リスクを回避するため、基幹システムのミラーサイトを構築・運用して、本社有事には切替稼動させる体制を確保しています。2017年1月にはこれに加えてサーバー室に免震装置を設置完了いたしました。2021年竣工の新棟に移設されたサーバールームでも同様の免震対策を講じています。

ローム本社:サーバー室に免震装置を導入

6.フィリピンの生産拠点:地震に強い生産棟

2018年に完成したフィリピン工場の生産棟では、抵抗器やプリントヘッドの増産するための整備を進め、生産能力を増強しました。フィリピンの最新設計基準であるNSCP2015(日本の耐震設計基準と同等の基準)に基づいて設計されており、地震に備えた生産体制を構築しています。

フィリピンの生産拠点:地震に強い生産棟の建設

7.ローム・アポロ筑後工場:災害に備えた新棟の建設

2021年に、SiCパワーデバイスの生産能力強化のため、ローム・アポロ筑後工場に新棟を建設しました。完成した新棟では、付帯エリアも含めた免震構造の採用による地震対策のほか、浸水対策・ガス消火設備・非常用発電機などを導入しており、各種災害に備えた工場となっています。

付帯エリアを含めた免振構造の採用
付帯エリアを含めた免振構造の採用
8.ローム・ワコー:BCP机上型訓練(初動編)の実施

岡山県の生産拠点では、災害有事に備えて各活動班員を対象に地震を想定した机上型の訓練を実施しています。この訓練は、「有事の初動で必要な事は何か」、「様々な情報が錯綜する中で、最優先事項である人命救助・負傷者把握が正確にできるか」をポイントに、「参加者自身が意思決定を行う対策本部員側になって、判断・指示等をより具体的に想像しながら出せるか」という点を実体験する訓練です。
参加者からは、「今までになかったタイプの訓練で、有事にどれだけ、情報が錯綜するか、意思決定を模擬的に体感できて良かった」など好意的な感想が多くありました。
これからも各班員が有事の際、受身ではなく、自ら考え行動できるよう訓練を継続します。

ローム・ワコー:BCP机上型訓練(初動編)の実施
9.フィリピンの生産拠点: コロナ禍における、火災・地震訓練の実施

コロナ禍では、大勢が集まることや社会的な距離が制限されていましたが、フィリピンの生産拠点では、火災報知器が鳴ったときに自発的に適切な行動がとれるようにすることを目標に、感染症に配慮しながら火災・地震対応訓練を継続的に行っています。

フィリピンの生産拠点: コロナ禍における、火災・地震訓練の実施
フィリピンの生産拠点: コロナ禍における、火災・地震訓練の実施
フィリピンの生産拠点: コロナ禍における、火災・地震訓練の実施

【水リスクへの対応】

1.World Resources Institute Aqueductを活用した水リスクの特定

ロームグループでは水リスクを特定するツールとして世界的な評価ツールである「WRI Aqueduct」を活用しています。
大量の水を使用する産業とされる半導体製造において、水の確保は生命線です。半導体製造の前工程(ウエハープロセス)の全工場が集中している日本では「渇水リスク」を優先課題として、長期的な取水量確保と水使用量削減目標を設定し、生産計画と環境目標にリンクした取水計画を進めています。
組立、検査をする後工程がある海外工場では「洪水リスク」を課題として特定しています。2011年のタイの洪水ではグループの工場が生産停止に陥り、施設や装置の損失および生産停止による経済的損失として社内外に大きな影響を及ぼしました。各工場の洪水リスク評価ツールとしても、「WRI Aqueduct」を活用するとともに、リスク管理・BCM委員会にてリスク評価および分析を行い、BCPの観点から想定停止日数を踏まえたBCP在庫設計を行うことで、洪水発生に伴う生産停止のリスク低減に取り組んでいます。

2.タイの生産拠点:タイの大洪水を教訓とした訓練の実施

2022年11月、タイの生産拠点において、洪水発生を想定したBCM対策本部訓練を実施しました。9回目となる今回も、2011年の洪水の経験を活かして作成したアクションプランに基づいて「上流域で洪水が発生した場合」、「工業団地の止水壁が機能せず、2011年と同等の洪水に見舞われた場合」のフェーズ毎に実施事項等を確認しました。
また、洪水対策として準備している止水壁の組み立て訓練、排水ポンプの起動訓練、ボートの操縦訓練など、洪水発生時に利用する物品のチェック、必要となるスキルの訓練等も実施しています。

リモートでの想定訓練の様子(2021年度)
リモートでの想定訓練の様子
止水壁の組み立て訓練
止水壁の組み立て訓練

3.マレーシアの生産拠点:洪水に負けない生産棟

2016年に完成したロームグループで最大規模のマレーシア工場の生産棟では既存棟と合わせて生産能力を増強しています。
新棟Building Aでは2014年に発生した洪水を教訓に、1階の床高さを平均潮位+5.1mに設定しました。また、電力供給では二重送電によりバックアップを確保し、長期操業停止を防止する体制を構築しています。
現在、2棟目となる新棟Building Bは、既存のBuilding Aと同等基準の各種BCM対策を導入しております。

マレーシアの生産拠点:洪水に負けない生産棟の建設

4.ローム・ワコー:土のう作り・積上げ訓練の実施

岡山県の生産拠点では、土のう作り・積上げ訓練を年1回実施しています。
これは9年前のマレーシアでの洪水発生時にローム・ワコーからマレーシアの生産拠点へ応援に行った社員から「土のうの正式なつくり方がわからない」「教えて欲しい」とのリクエストがあったことから始まりました。
初回は自治体の危機管理課職員による指導を受け、実際に土と麻袋を準備し、土のうの作り方、積み方資料と合わせて受講しました。現在ではその際に撮影した動画の視聴による自己学習と実地訓練という流れで訓練しています。薬品漏洩や河川の氾濫等に備え、今後の訓練を継続して実施していきます。

ローム・ワコー:土のう作り・積上げ訓練の実施

5.ローム浜松:特高受変電設備 洪水対策

国土交通省の地点別浸水シミュレーションで想定されている天竜川決壊時の最大浸水深さは3.1mです。
浜松の生産拠点では洪水のBCP対策として、2022年度に更新した特別高圧変電所の床高さを最大浸水深さにプラス0.5m見込んで3.6m嵩上げしました。

ローム浜松:特高受変電設備 洪水対策

【火災、その他リスクへの対応】

1.ロームグループ:火災リスクへの対応

ロームグループでは、火災リスクをトップリスクの一つとして捉えており、リスク低減に取り組んでいます。
2021年度から開始した火災特化型のリスクサーベイでは、オンラインにてグループ各工場における防火対応状況・活動のヒアリングや、他社での火災事例をベースとしたディスカッションを実施し、防火に関する取り組みを確認・評価しています。
特に、クリーンルームについては、生産装置・付帯機器の防火対策及び延焼拡大防止策を記載した「火災予防ガイドライン」を作成し、2022年度には当ガイドラインに基づいた火災未然防止活動をロームグループに展開しています。
これらの取り組みを継続し、グループ全体で防火対策・意識の向上を図ることで、社員の安全および事業継続をより強固なものにしていきます。

2.ローム本社:災害への備え、自衛消防隊組織の編成と防火・防災訓練

ロームでは、災害に備えて自衛消防隊組織を編成し、各社の状況に応じて小型動力ポンプ、化学防護服、防災防火衣、救助資機材などを配備しています。また、災害発生時に迅速かつ適切な活動ができるよう火災や地震を想定した実践的な避難訓練、危険物を取扱うクリーンルームでの訓練、地震発生想定訓練も実施しています。また、 在宅勤務の導入に伴い会社に出社する人数が減少したため、自衛消防体制を避難最優先とした体制に抜本的に見直しました。避難訓練も各地区毎に実施し、火災・地震想定に分けて、それぞれ総員1,200名が参加しました。
また、夜間休日を想定して、シフト毎夜間避難訓練も実施しています。なお、BCPにおいて周辺火災発生時に自衛消防隊の出動や消防用設備を提供することを定めています。

ローム本社:災害への備え、自衛消防隊組織の編成と防火・防災訓練

3.ローム本社:防火・防災管理体制とパトロール

ロームでは、職場毎に任命した火元責任者、消火器管理担当者、地震対策担当者等による自主点検を通じた防火管理体制を構築・運用しています。また、事務所エリアとクリーンルームエリアに分けて防火に関する専門部会を組織し、「一般防火」「危険物」「分電盤・配線(クリーンルームエリア対象)」「地震対策」に関する部会員パトロールを実施することで、火災・災害リスクの低減を推進しています。また、コロナ禍における対策として、2021年度よりwebカメラを使ったパトロールを開始しました。
加えて、ロームグループ全体の防火・防災管理体制をより強固なものとするため、グループ内の各拠点に対する防火・防災監査を実施しています。

4.タイの生産拠点:地域コミュニティのための初期消火の実習訓練

2019年に、タイの生産拠点にて会社周辺の地域の皆様154名に対し、初期消火のための座学と訓練を実施しました。この活動は地域住民とのステークホルダーダイアログでの意見を受け、生産拠点の防火委員会が中心となって実現したものです。このような活動を通じ自社だけでない地域一体となった防火対策を推進していきます。

タイの生産拠点:地域コミュニティのための初期消火の実習訓練
地域への初期消火の実習訓練

5.ローム・ワコー:火災リスクへの取り組み

岡山の拠点では、笠岡地区消防組合主催で開催された初期消火訓練大会に参加し、社内外における防火対象物及び危険物事業所における火災予防の徹底と、防火意識及び初期消火技術の向上による職場内防火体制の確立を図っています。競技種目は消火器取扱競技で、模擬火災を水消火器で消火するまでのタイム及び操作技術を競うものです。2022年の開催では笠岡地区消防組合管内より17チームの参加があり、当社チームは優勝と特別賞(個人)の両方を受賞することができました。

ローム・ワコー:火災リスクへの取り組み

6.ローム浜松:クリーンルーム火災を想定した消火訓練

夜間や土日祝日のクリーンルーム内火災を想定し、火災発見から初期消火、さらには不活性ガス消火設備起動の手順を示したビデオを作成し、実際に各シフト毎に訓練を実施しています。これにより、万一に火災が発生した際にも迅速かつ適切に対応することで、被害を最小限で食い止めることが期待できます。

クリーンルーム火災を想定した消火訓練

7.フィリピンの生産拠点: 生産棟における耐火性能の向上

フィリピンの工場では、生産棟における緊急時インフラや防火設備について、政府の規制に対応するだけでなく、火災発生時に社員が安全に避難できることを重要視して整備しました。 建物には自動消火装置が設置され、人の介入なく火災時の消火活動がより迅速に行われるようになりました。 同時に、災害の際により安全に避難するため、避難通路を追加建設しました。

フィリピンの生産拠点: 生産棟における耐火性能の向上
増設した消火ポンプ
増設した消火ポンプ
クリーンルーム内に設置されたスプリンクラー
クリーンルーム内に設置されたスプリンクラー

8.中国・天津の生産拠点: 生産棟における耐火性能の向上

中国の火災事故の統計データによると、電気火災が一番高い割合を占めています。中国・天津の工場は半導体製造企業として、電気火災の予防に非常に力を入れています。
2018年以降、生産装置の配電盤の全面点検を年1回行っております。赤外線サーモグラフィを使って点検を行い、異常箇所を発見すると、速やかにヒヤリハットを排除し、火災リスクの低減を実現しています。赤外線サーモグラフィの検出項目は約10種類あり、配線配電盤、装置側の入力端子、装置制御盤、各種ポンプ制御盤及び事務用・作業台のコンセント等があります。また、赤外線温度と熱画像の測定を通して関連データを記録し、過去データを比較することで、安全の傾向を予測することができています。
本取り組みは他のロームグループの生産拠点でも実施しており、グループ全体で防火対策に取り組んでいます。

中国・天津の生産拠点: 生産棟における耐火性能の向上
中国・天津の生産拠点: 生産棟における耐火性能の向上

9.新型コロナウイルスへの対応

新型コロナウイルス感染拡大期において、ロームは、産業医と連携し、新型コロナウイルスの感染状況や行政方針に対応した方針・マニュアル・ガイドラインを整備すると共に、社内でワクチン職域接種を実施するなど、社内の感染防止につながる環境整備と施策実施を進めてきました。
今後も起こりえる新たなパンデミックに備え、感染状況・行政動向・工場での対応等をアーカイブ資料として取りまとめ、対策やノウハウの蓄積を進めております。

コロナ禍では国内・海外拠点にて社内でワクチン接種を推進
コロナ禍では国内・海外拠点にて社内でワクチン接種を推進
コロナ禍では国内・海外拠点にて社内でワクチン接種を推進

コロナ禍では国内・海外拠点にて社内でワクチン接種を推進

コロナ禍では国内・海外拠点にて社内でワクチン接種を推進
コロナ禍では国内・海外拠点にて社内でワクチン接種を推進

フィリピンの生産拠点では社内でワクチン接種を推進したことにより行政から表彰を受賞しました。

10.サプライチェーンにおけるリスク対策

お取引先様に対しては「お取引先様による製品代替生産方法」「材料としてなくてはならないクリティカル原材料の調達方法の明確化」「安全在庫の確保」などに関する調査を継続して実施しています。また、CSR調達セルフアセスメントツール、CSR調達監査などを通してロームグループのサプライチェーンBCPに関する考え方の普及・浸透に努めています。

お取引先様との取り組み

リスク管理・BCM教育

ロームグループでは、リスク管理及びBCM体制の構築を目的とする社員への教育にも重点をおいて取り組んでいます。
2022年にはロームにて2種類のeラーニングを実施し、平時から社員の防火・防災・事業継続の啓発を図っております。
その他、ロームグループ各拠点で動画を使用した防火・防災啓発やeラーニング等を実施し平時から災害時の対応意識向上に努めています。

主な教育・研修実績

教育・研修 目的・内容 対象者 受講者数 受講率
BCM啓発eラーニング 巨大地震などが発生した際の社員一人ひとりの対応について再確認・啓発するためのeラーニング ローム 3,809名 99%
防火防災eラーニング2022 社内の防火意識高揚と火災予防体制の一層の充実を目的とした社員向けeラーニング ローム 3,665名 99%

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